水面下～黄～

　　　　　　　　人はいつか　「現実」から「白」へ辿りつく

「黄」とはなんだ？
ここにくるまでに　幾度となく問い返した問題
そして　出てくる答えはいつも一緒

だから　迷わない
たとえ　神　に問われたとしても――

少年は歩んだ
何処までも
先が見えなくても
また　「恐怖」や「罪」に襲われても
何処までも歩んだ
信じたものがあるから
愛したものがあるから

そして少年は
今　その前に立つ

水面下は激しく揺らぐ
それは　何の予兆か
少年が出した「黄」とは
物語は　終わりに近づいてゆく……

問おう
「黄」とはなんだ？

少年は　迷わなかった

存在しないよ　そんなもの
　誰もが自分のことを正しいと思っているのに　　　
何故この世界に「黄」があるの？
「ない」と言う答えがだめなのなら　みんなが「黄」だ
だけど
それは間違っている
そんなものに　意味はない
人の「黄」になんて　他の人には関係ない
その人に信念がある限り　その人の「黄」は揺らがない

その「黄」は　「自我」が　「記憶」が　「時」が
そして　「白」が築き上げる

それは　揺るぎのない「碧」でもある

それが世界中に散らばっていると言うのに
この世界の「黄」って　あるほうが不思議だ

だから　存在しない

ならば　問い直そう

お前の「黄」はなんだ？

少年は　迷わなかった

愛する人のために　戦うこと

あの日　僕は「自我」に戦い　そして負けた
悔しかった
もしかしたら　僕は「金」に手を伸ばそうとしていたのかもしれない
だけど今は違う
そんなものはいらない
「時」もいらない
ただ　「罪」を背負って　「黄」を抱えて
僕は　「白」に辿りつく
それが　どんなところであろうと　僕は後悔しない
そこが　僕の歩んだ結果なのだから

それは唸る

お前の「黄」　しかと見た
そのとおり　これから見る「白」は
お前の歩んだ結果だ

「恐れ」るな
その「黄」を信じてゆけ
「白」までは　あと少しだ

そして少年は　再び歩み出す

やがて水面下は　また静寂を取り戻す
黄色く染まった水面下は　いつものように澄み渡る
終焉まで　あと少し
水面下は何を映し　男は何を見るのか

この世界に「黄」は存在しない
されど　君の心に「黄」が宿らんことを……